◉ AI×ビジネス活用 / 2026年08月

中学生にも分かる 自分の資料に答えるAI検索アプリの作り方 #1

2026年08月1日 読了目安:約20分 著者:AIFRONTNEWS編集部 OpenAI API / RAG / VS Code

あなたのPDFやメモに「この表の意味は?」「要点だけ教えて」――そんな質問にAIが、登録した資料から探して答えるアプリを自分で用意できたら便利です。

完成すると、画面に「資料を登録」「登録状態」「質問欄」「回答欄」「参照元」の5つが並びます。AIはまず資料を探し、見つかった内容を根拠として答え、参照元のファイル名を示します。

この第1回では、VS CodeとOpenAI Codexの準備、OpenAI PlatformのAPIキーを安全に扱う考え方、サンプル資料での練習方針、最小構成の完成イメージ、確認のしかたまでを丁寧に進めます。

この回のゴール

  • できること:VS CodeでOpenAI Codexを使う準備を整え、RAG(File Search)型アプリの完成形と安全なサンプル資料の使い方を理解する。
  • 用意するもの:PC、インターネット、ブラウザ、VS Code、OpenAIアカウント、OpenAI Codex拡張、Node.js。
  • 大切な約束:APIキーはサーバー側の環境変数で管理し、個人情報や社内資料は練習に使わない。料金や仕様は変わるため、公式ドキュメントで常に確認する。
最初に知っておきたい用語
  • RAG:質問に関係する資料を先に探し、その内容を基にAIが答える仕組み。
  • File Search:OpenAIの検索ツール。登録したファイルを意味で探し、回答に参照元を添えられる。
  • ベクトルストア:資料を意味で探せるように整理して置く保管場所のこと。
  • APIキー:サービスを機械から安全に使うための秘密の鍵。人に見せない。
  • 環境変数:アプリが設定を読む引き出しのような場所。APIキーをここに隠す。
  • VS Code:プログラムを書く作業机のアプリ。拡張機能で機能を増やせる。
  • OpenAI Codex:VS Code内でコード作成を手伝うAIコーディングエージェント。
  • Responses API:OpenAIのAI回答を得るAPI。File Searchと一緒に使える。

1. この記事でできること

この回では、RAG(Retrieval-Augmented Generation)という「先に探してから答える」考え方を、手を動かす準備と一緒に身につけます。
ゴールは、VS CodeでOpenAI Codexが動き、OpenAI PlatformのAPIキーを安全に扱う準備ができ、最小のRAGアプリの完成形を具体的に思い描けることです。
たとえば、料理を始める前に台所を整え、材料を並べ、火加減のルールを知る段階にあたります。ここを丁寧にすると、このあとがスムーズです。

2. 完成イメージ

AI資料検索アプリのUIモックの完成イメージと5要素
Photo by Mahmudul Hasan on Unsplash

イメージは、学校の図書室の掲示板のようなシンプルさ。必要な場所だけが並び、何をすればいいか迷いません。

3. 最初に知っておきたいこと

RAGは「図書館の係が、まず質問に合うページを探し、そのページを見ながら案内する」に似ています。
技術的には、ファイルをベクトルストアに登録し、質問の意味に近い部分を探し(File Search)、見つけた内容を根拠にResponses APIで答えを作ります。
File Searchは意味検索やキーワード検索を活用できますが、常に正しい答えを保証する機能ではありません。資料に無いことは「登録した資料の中では確認できません」と返す動きが大切です。
モデル名、対応ファイル、上限、料金は変わる可能性があります。必ずOpenAI File Search guideOpenAI API Quickstartの最新情報を確認してください。

4. 対象読者

初心者から中学生までを対象にした学習の雰囲気
Photo by Mimi Thian on Unsplash

自転車の補助輪のように、まずは安全なサンプル資料だけで走り方を覚えます。

5. 必要なものと入れ方

VS Code

  1. これは何?:ノートと道具が一体になった作業机。コードを書いたり整理したりできます。
  2. 用意するもの:PC、インターネット、ブラウザ。
  3. 入れ方・開き方
    1) 公式のVisual Studio Code setupを開く。
    2) OSに合ったダウンロードを押す。
    3) インストーラーの案内に従って入れる。
    4) アプリを起動する。
  4. 最初の設定:左下の歯車→設定で表示言語やテーマを好みに合わせる。
  5. できたか確認:「Welcome」や「Get Started」が表示され、上部にメニュー(File/Editなど)が見えればOK。

OpenAI Codex(VS Code拡張)

  1. これは何?:となりで相談に乗る「コードの家庭教師」。頼むと設計や修正を手伝ってくれます。
  2. 用意するもの:VS Code、インターネット、OpenAIのサインイン手段(ChatGPTアカウントまたはOpenAI APIキー)。
  3. 入れ方・開き方
    1) VS Code左の四角いアイコン(Extensions)を押す。
    2) 検索欄に「Codex」と入力。
    3) OpenAIのCodex拡張を選ぶ。
    4) Install(インストール)を押す。
    5) 画面の案内でサインインする。
    6) 左側にCodexのチャット欄が出るか、ステータスが有効になるのを確認する。
  4. 最初の設定:新しい作業フォルダをVS Codeで開き、Codexがそのフォルダを扱えるようにする。
  5. できたか確認:Codexのチャットに短い文を送れ、返信が表示されたら成功。

OpenAI Platform(API利用)

  1. これは何?:AIの「受付カウンター」。APIキーの発行や利用状況の確認を行います。
  2. 用意するもの:OpenAIのアカウントとブラウザ。
  3. 入れ方・開き方
    1) OpenAI API Quickstartを開き、手順のリンクからPlatformに進む。
    2) アカウントでサインインする。
  4. 最初の設定:利用プランや支払い方法の設定が必要な場合は画面に従う。料金や制限は変わるため、その都度公式で確認する。
  5. できたか確認:ダッシュボードに入り、APIキー発行や使用量の画面に進めればOK。

Node.js

  1. これは何?:Webアプリの下で動く「エンジン」。サーバーの処理を担当します。
  2. 用意するもの:PC、インターネット、インストール権限。
  3. 入れ方・開き方
    1) VS Codeのセットアップページからリンクをたどるか、公式サイト経由でLTS版を入れる。
    2) インストーラーの案内に従い完了する。WindowsとmacOSで手順が少し異なるが、基本は画面の「Next」や「続ける」に従う。
  4. 最初の設定:特に不要。VS Codeで作業フォルダを作れば準備OK。
  5. できたか確認:VS Codeの「ターミナル」メニューを開けることを確認。バージョン表示は次回以降Codexに代わりに確認してもらいます。

6. エージェントと作るものの全体像

RAGアプリのフォルダ構成とベクトルストアの安全設計
Photo by Marvin Meyer on Unsplash

最小構成のフォルダ例は、家の間取り図のようなものです。どこに何を置くかを決めると迷いません。
方針:
– クライアント(画面)とサーバー(裏方)を分ける。
– APIキーはサーバーだけが読む.envに保管し、Gitに載せない。
– OpenAIのFile Searchを使い、ベクトルストアに安全なサンプル資料だけを登録する。
Responses APIからの回答に参照元(ファイル名)を添えて表示する。
ここで扱うのは動線と安全設計の原則です。細かなコードは次回以降、Codexに依頼して書いてもらいます。

7. 手順1: ツールを準備する

目的と理由

この手順では、VS CodeとCodexが使える作業机を整えます。机が片付いていると、後の作業が早くなります。

画面の操作

Codexに頼むこと

この回ではコード入力は行いません。後の手順でCodexにまとめて依頼します。

成功の見分け方

次に進む前の確認

Codexの返信が見えること、作業フォルダが空であることを確認します。

8. 手順2: APIキーを安全に用意する

APIキーを環境変数で安全に管理するイメージ図
Photo by Zulfugar Karimov on Unsplash

目的と理由

APIキーは金庫の鍵にあたります。画面やコードに直接書くと、うっかり見えてしまうことがあります。.envという秘密のメモにしまい、アプリからは環境変数として読みます。

画面の操作(概要)

なぜ直書きしないか

鍵を玄関に貼り付けないのと同じです。
APIキーは、.envに保管し、.gitignoreで除外し、サーバー側だけが読む。ブラウザへ送らない。この4点を守ります。

成功の見分け方

PlatformでAPIキーを発行でき、保管場所を決めたら準備完了です。

9. 手順3: エージェントにアプリを作ってもらう

目的と理由

ここから、OpenAI Codexに具体的な依頼を送り、最小のRAG File Searchアプリの雛形を作ってもらいます。あなたは設計書を渡す役です。

画面の操作

このボックスをコピーして、VS Code内のCodexチャットに送ります。

Codexに送るプロンプト

あなたはVS Code内で動くOpenAI Codexです。初心者向けの最小RAG(File Search)型「自分の資料に答えるAI検索」Webアプリの雛形を、このフォルダに作ってください。条件は必ず守ってください。

【作るもの(最小構成)】
- ブラウザ画面:以下の5要素だけを縦に並べたシンプルなUIモック(HTML/CSS/最小のフロントJS)。
  1) 資料を登録する場所(後で有効にするアップロード欄のダミー)
  2) 登録状態(「まだ未連携」の表示)
  3) 質問入力欄(テキスト)
  4) 回答欄(テキスト)
  5) 参照元(ファイル名のリスト領域)
- サーバー(Node.js/Express):/health だけ応答する仮API。Responses APIとFile Searchの実装は次回以降に差し込む前提で、構成を整える。
- プロジェクト設定:package.json、npm scripts(dev/start)、.gitignore、READMEを用意。

【OpenAIの使い方に関する方針】
- OpenAI Responses APIとFile Searchを使う前提のフォルダ構成にし、実装箇所はコメントで明確化。
- APIキーは環境変数(.env)からのみ読む。HTMLやクライアントJSにキーやベクトルストアIDを出さない。
- .env.sample を作成し、実値は書かない。READMEに安全な保存方法を短く説明。

【安全なサンプル資料】
- 実在の個人情報や社内データ、有料コンテンツは使わない。
- READMEに「Codexが生成した架空の短文テキスト(例:学校行事の案内や空想クラブ規約)」を練習に使う指示を書き、/samples フォルダにダミーTXTを自動生成するスクリプトまたは初期ファイルを用意。

【依存とコマンド】
- 使用技術:Node.js、Express、dotenv、(将来)OpenAI公式SDK。
- npm install などのコマンド実行は、初心者が自分で打たなくてよいよう、必要ならVS CodeのタスクやREADMEの「Codexに依頼する言い方」を用意。

【確認方法】
- 起動:npm run dev でローカルサーバーが立ち上がる想定(ポート番号は.envに PORT として設定、READMEで説明)。
- ブラウザでUIが表示され、5要素が見えること。
- /health にアクセスすると {status:"ok"} を返すこと。

【質問と段取り】
- 不明点があれば作業前に質問してください。初心者が迷わないように、作成後は画面で何を押して何が見えれば成功かをREADMEに具体的に書いてください。
- 既存ファイルを壊さないでください。上書きが必要なら事前に理由を説明してから行ってください。

Codexが作るものと確認ポイント

10. 手順4: 動かして確認する

ローカルでアプリを起動してUIを確認する場面
Photo by ELLA DON on Unsplash

目的と理由

雛形が動くか、画面とサーバーの入口が正しく作られたかを確かめます。家のカギが回るか、ドアが開くかの点検です。

画面の操作

成功の見分け方

次に進む前の確認

READMEの手順で迷わなかったか、分かりにくいラベルがあればメモします。次の手順でCodexに改善を依頼します。

11. 手順5: エージェントと直す

目的と理由

小さな違和感を早めに直し、次回のAPI連携に備えます。靴ひもをしっかり結ぶイメージです。

画面の操作

Codexに送る内容の例

「参照元」の説明に「回答の根拠に使ったファイル名を表示」と追記してください、など具体的に伝えます。

成功の見分け方

12. よくあるエラー

APIキーやポート競合などよくあるエラーへの対処
Photo by David Pupăză on Unsplash

APIキー未読込

バージョン違い

CORS/ポート競合

レート制限

料金やモデル、制限は変動します。常にFile Search guideAPI Quickstartで最新を確認してください。

13. 次に試すこと

14. まとめ

シリーズ第1回の学びの要点と次回への橋渡し
Photo by Glenn Carstens-Peters on Unsplash

第1回では、RAG(先に探してから答える)の考え方、安全なAPIキー管理、VS CodeとCodexの準備、最小UIの完成イメージを固めました。
次回以降、Responses APIとFile Searchをサーバーに組み込み、参照元(ファイル名)を表示しながら答える流れを作ります。料金や仕様は変わるため、都度公式ドキュメントで確認しながら進めましょう。

参考文献・公式情報